Q1.食堂チェーンの現場責任者です。デフレの情況が厳しくて売上が減少、従業員の給料の支払いが滞りがちでした。やむをえず「責任を感じて自分の給料を従業員に回した形でやりくりした形ですましてきました。突然社長から経営不振を理由に即日解雇と言われました。未払い給与は半年分で240万円余りとなります。何度請求しても払って貰えません。賃金を確保する方法をお願いします。
先ず未払い賃金額を確認して下さい。賃金台帳、給与支払い明細書など必要書類を精査して確認書をつくります。給与支払い実務の担当者から確認してもらうことも可能です。
(1)未払い賃金が確認できたら監督署に支払い命令を出してもらうよう申請する。
(2)60万円以下なら簡易裁判所に少額賠償請求の訴えを起こす。
(3)払いの根拠が不当解雇であることを立証して、「身分の保全と、この間の賃金支払いを請求する」訴訟を地方裁判所に起こす。手順や書類作成などについては、裁判所事務官に相談する方法と弁護士会に持ち込むやり方があります。裁判にかかる費用についても最近公的な立場での貸し付けや、代行の制度も進んできています
Q2.事務職ばかり20人の会社ですが、1年半前から賃金が定期的に払われなくなりました。個別に要求すると、その都度3万円、5万円などバラバラに払われるばかりで、少ない者で60万円、多い者は150万円もの未払いが残っています。社長に申し入れても監督署に電話しても梨のツブテです。賃金を払って貰える方法がありますか。
労働基準法では「賃金は毎月1回、定まった日に現金で直接本人に支払う」ことになっています。最近は労働組合、または従業員代表と文書で協定すれば、銀行振り込みが可能になり、多くの会社でこの方法がとられています。お尋ねのような支払い方は明らかに基準法違反です。まず、従業員全員の連名で、未払い賃金額の明細をつけて監督署に申し立てて下さい。それでも埒があかないようなら、労働組合を結成して要求書をつくり、会社の代表あてに団体交渉を申し入れ団交で解決するのが一番の近道です。組合づくりはQ&Aの01を参考にして下さい。
Q3.「パート」の契約で5日間働きましたが、身体上の都合で続かなくなりました。この間の賃金を幾ら電話で請求しても「もう少し待ってくれ」と言うばかりで支払ってもらえません。
働き始める時、雇用契約を結びましたか。その会社の就業規則を見たことがありますか。なければ、「退職にかんする条項」を見たいからといって請求、確認して下さい。パートの賃金を払わない理由付けは辞めるに当たって規定の日数前に申し出がなかった、というのが大半です。だからといって働いた分の賃金を払わなくて良いと云うことは絶対にありません。働いた日時、時間数と賃金総額を計算して会社に請求し、同じ文書をもって監督署に支払いの勧告をしてもらうよう申し出て下さい。それでも駄目なら労働局長の指導勧告、斡旋の手続きがとられることになります。
Q4.残業賃金が一部しか支払って貰えません。
時間制限を決めて残業賃金の支払いをその上限で打ち切ったり、実質的なサービス残業が未だにあとを断ちません。でも、組合や労働者個人が粘り強く請求した結果、労働局も積極的に事実を掌握、多くの大企業で正確な時間計算のうえ巨額の未払い分の支給が行われています。賃金債権の時効は2年です(退職金の時効は5年)です。実際の残業時間、早朝出勤時間などは、法定の割り増し、労働協約、就業規則上の規定通りの割り増しを含めて記録しておき、有効期間中に請求することをお勧めします。
Q5.会社が倒産して退職金が払って貰えません。
ふつう会社が倒産するというのは、不渡り手形を2回出した時点のことを云っています。
(1)裁判所に破産申請をし、破産管財人によって精算、会社は消滅する。
(2)会社を主な債権者の話し合いで整理する(内整理)
(3)商法による整理
(4)会社更生法による再建
(5)民事再生法による再建
などがあります。
「労働債権は優先債権だから」という話を聞かれたことがあると思いますが、優先権は第一番ではありません。第一は担保債権者、第二は税金、社会保険料などの公租公課、第三が労働債権です。だから、担保能力のある会社の資産に労働債権分の担保をつけることが出来れば間違いなく支払ってもらえることになります。長年働いた退職金=労働債権は労働者・サラリーマンにとって、一生一度の虎の子の財産・命綱です。会社が倒産したからと云って簡単に諦められるものではありません。そこで何とかその虎の子を自分の手にする手順を説明します。公的整理が裁判所で承認され管財人が任命されるまでは売掛金・仕掛品などの資産を債権者にお願いして回収します。従業員が一団となって現金・小切手などで確保しておき、労働債権(賃金・退職金)の一部に充てることをめざします。管財人が任命されると会社資産の処分は全て法にしたがって管財人が行います。従業員が確保した債権も「組合があれば組合」と管財人の交渉で、組合がなければ従業員代表との交渉で労働債権に充当されることになります。高度成長時代と違ってバブルが崩壊してからの会社倒産の結果は、労働債権に充てられる資産はゼロに近いのが実態です。製造業の場合は土地、建物、機械は勿論生産のソフトまでが全て工場抵当法による抵当物件になっています。その他の業種でも事務所、事務機器、無形の資産までリースか抵当物件になっています。日頃から退職金保全のためには、退職金共済など公的保証と個人別所得保障の制度を活用すること。日常的に企業経営の実態を把握して、経営の発展のために労使が協力出来る状況をつくっておくことが大切です。倒産が避けられず、個人別保証などがない場合、最後の手段が「労働債権の立替払い」制度を利用することです。
まず、会社倒産の事実を証明できる書類をまとめて労働局に確認を求め、確認されたら、「未払い賃金の一時立て替え払い」を申請します。法的整理に入っている場合は、倒産は確認されたという扱いになります。詳しい手順はセンター来所の上、打ち合わせて進めてもらうことになります。
使用者の立場なら、従業員の退職金が支払えないところまで、経営状態が悪化しない段階での会社整理を心掛けられるようお勧めします。
時間制限を決めて残業賃金の支払いをその上限で打ち切ったり、実質的なサービス残業が未だにあとを断ちません。でも、組合や労働者個人が粘り強く請求した結果、労働局も積極的に事実を掌握、多くの大企業で正確な時間計算のうえ巨額の未払い分の支給が行われています。賃金債権の時効は二年です(退職金の時効は5年)です。実際の残業時間、早朝出勤時間などは、法定の割り増し、労働協約、就業規則上の規定通りの割り増しを含めて記録しておき、有効期間中に請求することをお勧めします。